新潮新人賞 第51回 新潮新人賞(2019) 尾を喰う蛇 中西智佐乃(著) 灰白色の床の廊下は、絞られた明かりで霞んだようになっている。左側に並んでいる病室からは布団が擦れる音、くぐもった鼾、電子音、呼吸が染み出してくる。小沢興毅はアシックスのスニーカーで靄の中を割くように進んでいった。 新潮新人賞
新潮新人賞 第50回 新潮新人賞(2018) いかれころ 三国美千子(著) 南大阪のある一族に持ち上がった縁談を軸に、牧歌的な田舎の暮らし、不安定でわがままな母を甘やかす本家の祖父母、学生運動をしていた婿養子の父、精神を病んだ叔母、因襲に縛られた親戚たちの姿などを幼女の視点から鮮やかに描く。 新潮新人賞