第30回 紫式部文学賞(2020)

夢見る帝国図書館 中島京子

夢見る帝国図書館

中島京子(著)
文藝春秋

あらすじ
「図書館が主人公の小説を書いてみるっていうのはどう?」
作家の〈わたし〉は年上の友人・喜和子さんにそう提案され、帝国図書館の歴史をひもとく小説を書き始める。もし、図書館に心があったなら――資金難に悩まされながら必至に蔵書を増やし守ろうとする司書たち(のちに永井荷風の父となる久一郎もその一人)の悪戦苦闘を、読書に通ってくる樋口一葉の可憐な佇まいを、友との決別の場に図書館を選んだ宮沢賢治の哀しみを、関東大震災を、避けがたく迫ってくる戦争の気配を、どう見守ってきたのか。
日本で最初の図書館をめぐるエピソードを綴るいっぽう、わたしは、敗戦直後に上野で子供時代を過ごし「図書館に住んでるみたいなもんだったんだから」と言う喜和子さんの人生に隠された秘密をたどってゆくことになる。
喜和子さんの「元愛人」だという怒りっぽくて涙もろい大学教授や、下宿人だった元藝大生、行きつけだった古本屋などと共に思い出を語り合い、喜和子さんが少女の頃に一度だけ読んで探していたという幻の絵本「としょかんのこじ」を探すうち、帝国図書館と喜和子さんの物語はわたしの中で分かち難く結びついていく……。

「紫式部文学賞」に直木賞作家・中島さん(京都新聞)
インタビュー(小説丸)
インタビュー(クロワッサン)

第30回 紫式部文学賞について

  • 選考委員
  • 1次選考:紫式部文学賞推薦委員会。2次選考:紫式部文学賞選考委員会。最終選考:宇治市長
  • 応募数
  • 推薦作品数:64作品
  • 賞金
  • ブロンズ像、200万円
  • 掲載誌・発表
  • 宇治市ウェブサイト
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