商う狼 江戸商人 杉本茂十郎
永井紗耶子(著)
新潮社
あらすじ
甲斐の農家から江戸の飛脚問屋の養子となった茂十郎は、十組問屋との紛争解決で名を揚げた矢先に永代橋の崩落事故で妻と跡取り息子を失う。その悲しみを糧に、三橋会所頭取となり橋の運営に要する莫大な費用を集め、衰退した菱垣廻船を立て直して流通を一新。疲弊した慣例を次々と打ち破り、江戸の繁栄に生涯を捧げた改革者に迫る傑作歴史小説。
ぴりりと可楽!
吉森大祐(著)
講談社
あらすじ
櫛職人の又五郎は「お笑い」好きの粋な旦那衆が揃う“噺の会”の下っ端ながら、大坂からやって来たお笑い芸人を向こうに回し、ここでやらなきゃ江戸っ子の名折れとしゃしゃり出る。が、急ごしらえの寄席はたった五日で店仕舞い。自分のあまりの不甲斐なさに江戸の街を飛び出した又五郎、百戦錬磨の芸人たちが集う街道沿いの宿場町、越ケ谷・松戸で揉まれて丸二年。修業の末にようやく掴んだ前代未聞の即席芸“三題噺”で一世一代の大勝負に打って出る!
あの子の殺人計画
天祢涼(著)
文藝春秋
あらすじ
椎名きさらは小学五年生。母子家庭で窮乏している上に親から“水責めの刑”で厳しく躾けられていたが、ある時から自分が虐待されているのではないかと気づき始める。一方、JR川崎駅近くの路上で、大手風俗店のオーナーが刺し殺された。かつて店で働いていた椎名綺羅が捜査線上に浮かぶが、彼女には娘のきさらと一緒に自宅にいたというアリバイがあった―。社会派と本格が見事に融合した傑作ミステリー!
アメリカン・ブッダ
柴田勝家(著)
早川書房
あらすじ
未曾有の災害と暴動により大混乱に陥り、国民の多くが現実世界を見放したアメリカ大陸で、仏教を信じ続けたインディアンの青年が救済を語る書下ろし表題作のほか、VR世界で一生を過ごす少数民族を描く星雲賞受賞作「雲南省スー族におけるVR技術の使用例」、『ヒト夜の永い夢』前日譚にして南方熊楠の英国留学物語の「一八九七年:龍動幕の内」など、民俗学とSFを鮮やかに交えた全6篇を収録する、柴田勝家初の短篇集。
処女のまま死ぬやつなんていない、みんな世の中にやられちまうからな
葵遼太(著)
新潮社
あらすじ
ねーねーねー。高校三年生の朝は、意外な声に遮られた。狸寝入りを決め込む僕に話しかけてきた同級生、白波瀬巳緒。そして、隣の席の、綺麗な声が耳に残る少女、御堂楓。留年し、居場所がないと思った学校のはずなのに、気づけば僕の周りに輪ができていく。胸はまだ、痛む。あの笑顔を思い出す。でも、彼女の歌声が響く。ほんのり温かいユーモアと切なさが心を打つ、最旬青春小説。
文学賞
10月14日に第3回 細谷正充賞の選考結果が発表されました。5作品が受賞しています。
選考委員:細谷正充
対象:2019年9月から2020年8月までに発行された書籍
関連リンク
「第三回 細谷賞」発表です!