月よりの代弁者
改題:月の落とし子
穂波了(著)
早川書房
あらすじ
それは人間の進歩を証明する、栄光に満ちたミッションのはずだった―。新しい時代の有人月探査「オリオン計画」で、月面のシャクルトン・クレーターに降り立った宇宙飛行士が吐血して急死する。死因は正体不明のウィルスへの感染…!?生き残ったクルーは地球への帰還を懸命に試みるが、残酷な運命に翻弄されて日本列島へ墜落する―致死性のウィルスと共に…。空前絶後の墜落事故!そして未曾有のバイオハザード!極限状況の中で、人間は人間自身を救い希望を見出すことができるのか。クリスティー賞史上、最大のスケールで描かれる超災害ミステリ。
それ以上でも、それ以下でもない
折輝真透(著)
早川書房
あらすじ
1944年、ナチス占領下のフランス。中南部の小さな村サン=トルワンで、ステファン神父は住民の告解を聞きながらも、集中できずにいた。昨夜、墓守の家で匿っていたレジスタンスの男が、何者かによって殺されたのだ。祖国解放のために闘うレジスタンスの殺害が露見すれば、住民は疑心暗鬼に陥るだろう。戦時下で困窮する村がさらに混乱することを恐れたステフィン神父は、男の遺体をナチスに襲撃された隣町に隠し、事件の隠蔽をはかる。だが後日、ナチス親衛隊のベルトラム中佐がサン=トルワンを訪れる。レジスタンスが匿われていると信じる住民にも、目的が判然としないベルトラム中佐にも、ステファン神父は真実を告げることができない…。孤独に葛藤し、村を守るため祈り続けた神父が辿り着いた慟哭の結末とは。
候補作品
「赤い三日月にさよならを」 藍原小夜(著)
「神の生まれる場所」 志与木香(著)
「月よりの代弁者」 穂波了(著)
「一途な家―あるいは赤屋敷の秘密―」 水野隆志(著)
「それ以上でも、それ以下でもない」 折輝真透(著)
第9回 アガサ・クリスティー賞
選考委員:北上次郎、鴻巣友季子、藤田宜永、ミステリマガジン編集長
掲載:ミステリマガジン及びSFマガジン
関連リンク
第九回アガサ・クリスティー賞選評
第九回アガサ・クリスティー賞選考結果